学校法人 聖フランシスコ学園 天使幼稚園
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<2018年度>卒園文集
ぼくの未来・わたしの未来
2019年3月19日
 小学生がおとなになった時に就きたい職業ベストテンが毎年発表されています。最新の調査では、男の子は1位「学者・博士」2位「野球選手」3位「サッカー選手」その後「警察官・医者・大工・消防士・食べ物屋・建築家・水泳選手・運転士・料理人」と続きます。女の子は1位「食べ物屋」2位「看護師」3位「幼稚園・保育園の先生」で、その後「医者・学校の先生・歌手・タレント・薬剤師・ペット屋さんなど飼育系・バレリーナなどダンス系・デザイナー」と続いています。(第一生命調査)みなさんがなりたい職業はこの中にありましたか?

 アメリカ大リーグで活躍したイチロー選手や、サッカー日本代表に選ばれた本田圭祐選手は、子どものころからそれぞれ野球選手に、サッカー選手になりたいと思い、その夢が実現できるように、どのようなことをすれば良いかを考え、努力を積み重ねてきたとのこと。さらに、実際におとなになった6人に1人は子どものころの夢がかなったという研究もあるそうです。

 その一方で、今の子どもたちの10人中6~7人は、現在は存在しない新しい職業に就くだろうという予想があります。

 平成が始まった今から30年前、みなさんのお父さんやお母さんが子どもの頃、スマホはもちろん、みんなのおうちにパソコンなどはない時代でした。みなさんが見ているアニメも、CG (コンピューターグラフィックス)ではなく、1枚1枚手で描いた絵を何枚もつなぎ合わせて作られていました。(1秒間に24枚の絵が必要だったそうです)サッカーのJリーグはまだ発足前で、男の子が就きたい職業ベスト10にサッカー選手はありませんでした。また、コンピューターのプログラムをする職業やCGを作るクリエーターという職業は存在していませんでした。

 平成の30年間だけでもこれだけの変化がありました。みなさんがおとなになる20年後はどのような世界になっているでしょうか。科学技術が発達し、車の運転はすべて自動化され交通事故が全くない時代になっているかもしれません。すると運転手さんという仕事はなくなっているでしょう。みんなが宇宙旅行ができる時代になっていたら、宇宙飛行士や月にあるレストランのコックさんになっている人がいるかもしれません。反対に世の中が便利になりすぎたから、お米やお野菜を人の手で作る仕事が人気の職業になり、農業をしている人がいるかもしれません。そして、今は思いもつかない仕事に就いている人がたくさんいるのではないでしょうか。

 今あこがれている職業に就くのであれば、イチロー選手や本田選手のように、将来に向けて計画を立て、一つひとつ積み上げていくことが成功への道につながります。一方、今は存在しない職業に就くためには、いろいろな出来事に出会った時、何が起きているのかを確かめる「観察力」や、その解決方法を考える「想像力」や「創造力」、そして困難なことを乗り越える「忍耐力」、仲間と協力するための「協調性」や「コミュニケーション能力」などが必要になるでしょう。

 未来を生きるみなさんに求められるのは、一人ひとりが神さまから与えられた自分の力に気付き、それを伸ばしながら、今から出会う多くの仲間と共に新しい時代を築いていくことです。これから小学校、中学校……と多くのことを学び成長していくみなさん。目標を持っていると、学ぶことがとても楽しくなります。ぼくの未来、わたしの未来を切り拓くのはみなさん一人ひとりです。未来の素晴らしい自分や世界を思い描きながら、楽しく充実した学校生活を送ってくださいね。

 みなさん、卒園おめでとうございます。
                  (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>年度末のおたより
春の訪れ
2019年3月18日
 3月も半ばを過ぎ、「てんしのいえ」のハクモクレンも真っ白な花を咲かせ、玄関脇には黄色いマーガレットやハナカタバミ、白いトキワマガリバナ(右の写真)のかわいい花が顔を見せ、子どもたちが育てているチューリップもぐんぐん草丈が伸びてきました。最高気温も15℃を超える日が増え、春らしくなってきています。
 何となくうきうきとした気分になる春。この「春」という文字、元は「萅」と書きました。「艸」は並び生えた草、「屯」は芽が出ようとする様子、「日」は太陽で、お日様によって温められ、地中から草木が生える様子を表しています。また「はる」ということばも草木の芽が「張る(はちきれそうにふくらむ)」というところからきているそうです。(他にもいくつかの説があります)二十四節気では立春から立夏の前日までが春ですが、まだ寒さが残る「名のみの春」を経て、天文学的には、春分から夏至の前日までを春というそうです。こちらの方が春らしさを感じられる分け方ですね。

 日本では新しい生命が芽生えるこの季節に卒園式や卒業式、入園式・入学式そして入社式を迎え、多くの人たちが、今まで過ごしてきた集団・社会を巣立ち新しい世界へと飛び込んでいきます。子どもたちや学生さんたちは、期待と不安を胸に抱きながら、春を待ちわびた草木のように、長い時間をかけて蓄えてきた力を一気に芽吹かそうとしています。

    まだ経験したことのないことはこわいと思うものだ。
      でも考えてごらん。世界は変化し続けているんだ。
        変化しないものはひとつもないんだよ。
             (レオ・バスカーリア『葉っぱのフレディ』より)

 目まぐるしい変化を見せる現代社会。今までの常識がそのまま通用しなくなったり、学校教育の現場でも、自ら問題を見つけ、その解決方法を探り、新しい考え方を創り出していくことが求められるようになったりしています。子どもたちは今まで学んできたことを礎として、4月から新しい自分を作るべく歩み始めていきます。

 不安を感じながら枝を離れ枯葉となったフレディは、春になると雪どけ水にまじり、土に溶け込んで新しい命へとつながりました。「大自然の設計図は 寸分の狂いもなく“いのち”を変化させつづけているのです。」(葉っぱのフレディより)形は変わっても脈々と流れ続ける“いのち”のように、今まで培ってきた力が、新しい学年の成長の糧となっていきます。

 天使幼稚園でも、子どもたちに身につけてほしい力、さまざまな行事、預かり保育の時間、保護者会のあり方など、多くのことについて「ねらいの確認とふり返りを通して」ステップアップを図ってきたこの一年間でした。今までどおりではないことに戸惑いを感じつつも、ご協力いただきありがとうございました。新年度からも、未来を生きる子どもたちに必要なものは何かを探りつつ、一歩一歩高みをめざして歩み続けていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。
                       (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>3月のおたより
インプット・アウトプット
2019年2月22日
 お外遊びが出来ない雨の日や、活動の合間のちょっとした時間、子どもたちはお絵かき帳や粘土を机に広げ、思い思いに過ごしています。

 「園長先生、そうめんながし つくったの。」と、粘土を長く伸ばして真ん中をくぼませ、流しそうめんの台を作っている子や、粘土をひものように伸ばし、それを何本も並べて「虹を作っているの。」と教えてくれるお友だちも。ただの土のかたまりが、子どもたちの豊かな発想で、いろいろな物に変身していきます。

 その向かいでは、真っ白な画用紙にクレヨンを走らせ、かわいいお姫様を描いている子や、クレヨンでクルクルと線を書き「園長先生、この迷路できる?」と呼びかけてくるお友だちも。クレヨンを思いのままに動かし、ピカソを彷彿させる絵を描いている年少さんに「何を描いたの?」と聞くと、嬉しそうに「プロントザウルス。」と大好きな恐竜の名前を答えてくれるなど、子どもたちの想像の世界が画用紙の上に広がっています。

 「子どもは誰でも芸術家だ。問題は大人になっても、芸術家でいられるかどうかだ。」(パブロ・ピカソ)と、ピカソ自身も子どもたちの発想の豊かさを賞賛しています。子どもたちは、少ない人生経験の中で手に入れた情報を上手に活用しながら自由に発想を広げ、ピカソも認めるような作品を生み出しているのです。

 先日、NHKの「クローズアップ現代+」で「スマホ脳過労」を取り上げていました。最近30~50代の働き盛り世代に、認知症もどきの症状を訴える人が急増しているそうです。「おくむらメモリークリニック(もの忘れ外来)」院長奥村歩医師によると、私たちの脳は、①浅く考える機能(ワーキングメモリー) ②深く考える機能(熟考機能)そして③デフォルトモードネットワーク(ぼんやり考える機能)をバランスよく使うことで効果的に働いているとのこと。ところが、四十六時中スマホからの情報を脳に入れ続けると、脳が疲労して処理能力が低下、その結果、もの忘れやミスを起こす原因となっているそうです。特にぼんやりすごしている時は、脳に入ってきた情報を取捨選択し、記憶の整理をしているとても大切な時間だそうです。

 ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)が発達し、多くの情報を簡単に手に入れることができるようになった現代社会。私たちは、様々な情報や知識を手に入れるインプットばかりを大切にする傾向があるようです。その一方、子どもたちは適度な情報をインプットしながら、色々なものを作ったり絵を描いたりするアウトプットを思う存分楽しんでいます。

   人間が自分の精一杯の力を出して、
     最上のものを創っている時ぐらい愉快なことはない
       (エレナ・エミリー・ホグマン・ポーター:ポリアンナ物語原作者)

 幼稚園では、3学期の後半に廃材遊びの時間を設け、子どもたちが今までに培ってきた力を自由に発揮し、いろいろなものを作ることができる場を設けることにしています。

 保護者の皆様方も、情報過多の現代社会の中、あれもこれもと情報を取り入れるだけでなく、のんびりと空を見上げたり子どもたちが遊ぶ風景を楽しんだりと「ぼんやりする時間」も大切にし、子どもたちのように、あるいは子どもたちと一緒に、思いのままに何かを作る時間を持ってみてはいかがでしょう。
                         (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>2月のおたより
ハーモニー
2019年1月23日
 昨年の12月、高輪教会聖歌隊の仲間に入れていただき、クリスマスコンサートで、40人程のメンバーと共に、ソプラノ・アルト・テノール・バスの4部に分かれて、クリスマスソングなど10曲を超える歌を聴いていただきました。このコンサートの収益の一部は、天使幼稚園の設立母体であるお告げのフランシスコ姉妹会が携わっている子供寮にも届けてくださっています。

 それぞれのパートが異なる音を出しているにも係わらず、それが組み合わさると素晴らしい響きになる合唱は、古くから人々の心に潤いを与えてくれていました。そのきれいなハーモニーを奏でるためには、それぞれのパートが他のパートの音を聴きながら、ひとつになるよう合わせていくことが大切です。そこには、美しい歌を聴いてもらいたいという共通の思いや、きれいな音を作り上げていこうというお互いの連携が必要になってきます。それらがひとつになった時、美しいハーモニーが聴かれるようになります。

 異なるパートが援けあうことの大切さは、聖書にも記されています。

    「体は一つでも、多くの部分から成り、体のすべての部分の数は多くても、
     体は一つであるように、キリストの場合も同様である。目が手に向かっ
     て「お前は要らない」とは言えず、また、頭が足に向かって「お前たちは
     要らない」とも言えません。それどころか、体の中でほかよりも弱く見え
     る部分が、かえって必要なのです。神は、見劣りのする部分をいっそう
     引き立たせて、体を組み立てられました。それで、体に分裂が起こらず、
     各部分が互いに配慮し合っています。一つの部分が苦しめば、すべて
     の部分が共に苦しみ、一つの部分が尊ばれれば、すべての部分が共
     に喜ぶのです。あなたがたはキリストの体であり、また、一人一人はそ
     の部分です。」(コリント第一12:12-27より抜粋)

 指先に小さなとげがささっただけでも、体全体で不快を感じ、きれいな音楽を聴くだけで、体全体がリラックスするなど、それぞれの部分がその役割をしっかりと果たすことで調和をとっています。それと同様に私たち人間同士も、それぞれ異なった力を出し合い、助け合うことが大切です、そしてその中でも特に他より弱い部分が必要なのですとイエスさまは教えてくださっています。

 自分と異なる多くの人々と交わりながら、相手を尊重し、互いに援けあっていく。おとなも子どもも、そのような力を育みながら学年の終わりを迎えたいと思っています。

 ところで、今年の3学期の公開講演会は、初めての試みとして子どもたちと共に参加していただく「合唱体験ワークショップとミニコンサート」を企画しました。歌う楽しさを子どもたちと共に味わったり、園児よりちょっとお兄さんお姉さんのきれいなハーモニーを聴いたりしながら、歌うことを身近なものと出来たら良いなと思っています。詳細は下の表の通りです。どうぞお子さまと一緒に足をお運びください。お待ちしています。       (園長 鬼木 昌之) 

 <合唱体験ワークショップ>
2019年2月23日(土)14:30~15:30 
東京少年少女合唱隊
~お子さまと一緒にご参加ください~

(申込不要・入場無料)

 声を合わせて歌う楽しさを体験してみませんか。
3学期の公開講演会は、
合唱体験ワークショップとミニコンサートを計画しました。

その後、東京少年少女合唱隊のみなさんと一緒に、
みんなが知っている歌を楽しく歌います。

 最後に東京少年少女合唱隊の子どもたちによる
ミニコンサートもありますよ。
<2018年度>1月のおたより
新しい時代
2019年1月8日
あけましておめでとうございます。

 新しい年がスタートしました。「亥年」「2019年」「平成31年」そして「平成最後」のお正月。4月には新しい年号が発表され、5月から「○○元年」が始まります。例年と変わらない年明けだけれど、年号が変わるということから新しい時代の始まりが感じられるお正月になりました。

 平成元年(1989年)天皇陛下は即位の記者会見の中で「現在の世界は、あらゆる国々が国際社会の一員という立場に立たなければ、人類の幸福は得られないという状況になっていると思います。」と述べられました。当時は、ベルリンの壁崩壊(1989年11月)直前で、まだバブル景気(1986~1991年)の真っ只中、訪日外国人は320万人ほどでした。家庭にコンピューターが普及するきっかけになったWindows 95は発売前(1995年リリース)で、今のように各家庭にコンピューターやその進化形であるスマートフォンが入り、世界中とこれほど深くつながるなど想像することはできない時代でした。

 それから30年、訪日外国人は平成元年の9倍の2,900万人に達し、日本各地の名所を巡ると周りには外国語があふれています。またこれからの時代を生きる子どもたちが、海外の人々とスムーズにコミュニケーションができることをめざし、小学校教育の中でも英語教育が行われるようになりました。さらに、教育界では「受け身の学び」から、「自ら学ぶ」姿勢を大切にした「アクティブラーニング」などを取り入れた学習へと大きく変わりつつあります。

 これから迎える新しい時代は、現在幼稚園で育ちゆく子どもたちが支えていく時代でもあります。それは平成の30年間以上に、変化が激しく、価値観が多様化し、正解が一つではなく、むしろ「自ら、解答ではなく、問題とその解決策を見つけること」が求められる時代になっていくと予想されています。 

  新しいことに挑戦するときに、もっとも大切なことは、
   現在の自分の能力を考慮して、できるかできないかを予測することではなく、
    「やる気」があるかないかである。これを忘れてはならない。 (斉藤重太)

 「く月(1月)」「げる月(2月)」「る月(3月)」と言われ、あっという間に過ぎ去っていく3学期。修了式、卒園式に向けて1日1日を大切にしながら、モンテッソーリ教育の理念である「自ら選び」「心行くまで取り組み」「できたという喜びを味わう」活動を、モンテッソーリの教材を使ったり、それ以外の活動を取り入れたりして、未来を生きる子どもたちに必要な「やる気」を育てていきたいと思います。

 今学期もよろしくお願い致します。
                   
                (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>冬休みのおたより
輝く星の導き
2018年12月19日
 「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです。」(マタイ福音書2章2) 東の国から占星術の学者たちが、星を頼りにイエスさまのご誕生を祝いにやってきました。学者たちが見たこの星は、人々に大きな喜びを知らせる印でした。

 イエスさまのご降誕を知らせるこの星に限らず、暗い夜空に輝く星は、人々の心に不思議な気持ちを起こさせるものです。16世紀、森の中で枝越しにまたたく星を見て感動したマルティン・ルターは、木の枝にロウソクを灯してその光景を再現しました。それがクリスマスツリーの原点になったと言われています。初めは小さな灯火(ともしび)だったものが、今ではまばゆいばかりのイルミネーションに変化して多くの人々の感動を呼んでいます。光というものはそれほど人々の心を揺さぶる力を持っているようです。

 天使幼稚園のクリスマス会の聖劇では、神さまの救いの計画をふり返ることができるように、ご降誕の場面だけではなく天地創造の場面から演じています。「初めに、神は天地を創造された。地は混沌(こんとん)であって、闇が深淵(しんえん)の面(おもて)にあり、神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。『光あれ。』こうして、光があった。神は光を見て、良しとされた。」(創世記1章1) ここにも混沌とした闇の世界に先ず「光」を造られたと書かれ、人々にとって光が大きな意味を持っていることが記されています。

 さらに新約聖書には「わたしは世の光である。わたしに従う者は暗闇の中を歩かず、命の光を持つ。」(ヨハネ福音書8章12) と、イエスさまご自身が光であり、イエスさまに従う人は命の光を持つと教えてくださいました。そしてイエスさまだけでなく、「あなたがたは世の光である。ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台(しょくだい)の上に置く。そうすれば家に中のものすべてを照らすのである。そのように、あなたがたの光を人々の前に輝かしなさい。」(マタイ福音書5章14-15)と、私たち一人ひとりも世の光であり、人々に役立つ人となってくださいと私たちの歩むべき道を示してくださいました。

 神さまに造られ、神さまから愛されている私たち一人ひとりは、神さまからその人その人に応じた力を授かりました。そして「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」(ヨハネによる福音13章34) と、私たちも自分に与えられた力を活かして、イエスさまのように、出会った一人ひとりを大切にし、周りの人を援ける光となるようにと教えられています。

 先週のクリスマス会で、子どもたちは劇やオペレッタ、聖劇に取り組みました。このクリスマス会で、子どもたちはみんなと協力しながら、自分の役目をしっかりと演じ、イエスさまや見に来てくださった方々へ、その姿をプレゼントしました。小さな子どもたちであっても、精一杯がんばる姿や「ありがとう」というひとこと、嬉しそうな笑顔などを通して周りの人を幸せにすることができるもの。

 神さまがイエスさまをプレゼントしてくださったように、私たちも進んで周りの人にプレゼントをしようというクリスマスの本来の意義を、おとなも子どもも確かめ合いながら、一人ひとりが他の人を幸せにする「輝く星」となって、イエスさまのご降誕を共にお祝いできるといいですね。
                        (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>12月のおたより
優 し さ
2018年11月22日
 11月の初め、幼稚園玄関ホールにある水槽の中で、赤ちゃん熱帯魚が生まれました。水槽のお世話をしてくださっているお店の方のお話によると、普通はいろいろな種類の熱帯魚が泳ぐ水槽の中で卵を産んでも、ほとんど他の強い魚に食べられ、赤ちゃんが生まれることは稀(まれ)な事とのこと。お店の方も、「園長先生、これは奇跡的なことですよ。」

 次の週、この水槽を見ていると1匹のエンジェルフィッシュが弱って、水槽の底に横たわることが増えてきました。すぐにお店の方に来て見ていただくと、えさ場の近くに他のエンジェルフィッシュが卵を産み、その卵を守るために、近づく魚たちを攻撃していたそうです。そのため、この弱ったエンジェルフィッシュはえさを獲ることができず、やせ衰えていたということでした。

 この小さな水槽の中でも、生きるために他の魚の卵を食べたり、強い魚が自分の子どもを守るために他の魚を攻撃したりという弱肉強食の世界が繰り広げられていました。それは、自分の子孫を守るという本能からの行動で、生き物の世界では普通に見られる現象でした。
       
 生物が進化するにつれ本能からだけではない行動が見られるようになります。海でおぼれかけた人をイルカが助けてくれたというお話が昔から世界各地に残っています。また私たち人間と一緒に暮らしている犬や猫は、人を癒(いや)すような行動をしてくれます。それは、単に生存するためだけの本能的な行動とは、少し異なっているようです。

 そして、私たち人間は、知識や知恵、感情や心によって人間同士、あるいは他の生き物に対して、本能を超えた行動をとることができる存在です。自分の意志で、困っている人、弱っている人がいれば助けてあげたり、生き物を大切にしたり、自分の身近な人だけでなく世界中の人や自然に目を向け、慈(いつく)しむことだってできるのです。

 人が他の生き物と大きく異なっているということは、聖書の中にも記されています。
「神は言われた。『我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うすべてのものを支配させよう。』神はご自分にかたどって人を創造された。」(創世記1章26-27)
私たち一人ひとりは、神さまに似せて造られたと書かれています。さらに、イエスさまは
「疲れたもの、重荷を負う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませて上げよう。」(マタイ福音書11章28)
と、神さまがどのような思いで人々とかかわっているかを教えてくださいました。神さまの似姿である私たちは、神さまに倣(なら)って「優しさ」を持って人や生き物、自然に向き合うことができる存在なのだと、聖書のお話からも読みとることができます。

    本当の優しさとは、相手を理解し、相手の心情を思いやる想像力を持つことです。 

瀬戸内寂聴さんのこのことばのように、本当の優しさは相手の立場や思いを大切にする気持ちから生まれてきます。そして、そこには相手がどのように感じているかを推(お)し量る「想像力」が求められます。

 神さまに似せて造られた私たち一人ひとりが、周りの人、世界中の人々、社会の流れや自然環境に心を向け「本当の優しさ」を考えながら行動し、優しさにあふれた世界を築いていくことができるといいですね。
                     (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>11月のおたより
ありがとうの花
2018年10月24日
 先日、保育室の前を歩いていると、年少組の女の子が
「えんちょうせんせい、だいすき。」と声をかけてくれました。
「園長先生も(あなたが)大好きだよ。」と答えると、
「ありがとう。」という返事が!!
この会話の中でこんなに自然に「ありがとう。」が出てくるなんて、きっと普段から「ありがとう。」と素直にいえる心が育っているんだなあ、まだ4歳になったばかりだけれどステキな人に成長しているなと感動を覚えた出来事でした。

  ありがとうって いったら みんなが わらってる 
   そのかおが うれしくて なんども ありがとう
     まちじゅうに さいている ありがとうの花
      かぜにふかれ あしたに とんでいく
    ありがとうの花が さくよ きみのまちにも ホラいつか
      ありがとうの花が さくよ みんなが わらってるよ

うたのおにいさん(1985年~1993年)の坂田おさむさん作詞、作曲の「ありがとうの花」です。このように、ありがとうという言葉には、人を幸せな気持ちにさせる魔法の力がこもっています。

 「ありがとう」を漢字で書くと「有難う」。それは有ることが難い(むずかしい)という意味で、本来は「滅多にないこと」や「珍しくて貴重だ」ということを表し、そこからそれほど貴重な出来事への感謝の思いがこのことばに込められるようになりました。

 「有ることが難しいできごと」といえば、医療がまだ発達していなかった昔は、生まれた子どもが無事に成長することが難しかったので、子どもたちが3歳5歳7歳になった時、ここまで成長できたことに感謝し、さらにこれから健やかに過ごすことができるようにという願いを込めて七五三のお祝いをするようになったそうです。11月の恒例行事「七五三」にも、このように「ありがとう」の思いが込められています。

 また11月23日は勤労感謝の日。日頃自分たちのために働いてくださっている方々に「ありがとう。」と感謝の思いを伝える日です。人は誰も自分ひとりで生きているのではなく、周りの人に支えられ援けられて生きています。さらに視野を広げると、食べ物にしても石油を含めたエネルギー資源にしても、世界中の多くの人たちの働きのおかげで、日々の生活が成り立っています。私たちの生活すべては「有ることが難しいできごと」によって支えられていることに「勤労感謝の日」を通して子どもたちと一緒に気付き、より深い感謝の気持ちを持つことが大切だなと思います。
   神様は私たちの「願ったもの」よりも、
     幸せを増すのに「必要なもの」を与えてくださいます。
       それは必ずしも自分が欲しくないものかもしれません。
   しかしすべて必要なものなのだと、
     感謝して謙虚に受け入れることが大切です。(Sr.渡辺和子)

「有ることが難しい」神さまの恵みに、自然に「ありがとう。」と言える。そんな人になることができるとステキですね。           
                  (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>10月のおたより<運動会号>
運動会へのご協力ありがとうございました
2018年10月17日
 運動会の総練習は雨のため2回延期になりましたが、運動会当日は朝まで広がっていた雲がだんだんと抜け、素晴らしい青空の下、大勢の皆様方の応援・協力をいただきながら無事に開催ずることができました。ありがとうございました。

 「ステップアップ~ねらいの確認と振り返りを通して~」を目標に掲げた今年度。運動会もまた、恒例の行事として行うだけではなく、まずは子どもたちが楽しく参加することができるように、そして困難なことを乗り越える力を育むことができるように、さらに子どもたち一人ひとりの成長の場となるようにと意識しながら、練習を重ねてきました。

 初めての運動会を迎えた年少さんは、最初の種目のかけっこの前に一人ひとりお名前を呼び大きな声で返事をすることに挑戦しました。ゆらゆら海の中をおよぐクラゲをイメージした年中のお遊戯は、まっすぐな線ではなく、くねくねと曲がった線の上に並びました。そして年長さんは今 年もリレーの順番を自分たちで話し合い、さらに組体操の最後の演技の名前を自分たちで「レインボーバード」と決め、張り切って取り組みました。このように学年ごとに年齢に応じたチャレンジを組み込んだ運動会。当日は、運動やお遊戯が得意な子も苦手な子もそれぞれに、自分の持っている力を発揮してくれていました。

 運動会の日お話したように、どのような活動でも上手くいったりいかなかったりすることがあるものです。この運動会でも、どれだけできたかということよりも、ここでの経験がどのように活かされていくかが、未来に向けた力を育む子どもたちにとって大切なこと。お家に帰ってからも、一人ひとりがんばったことをしっかりと引き出し聴いていただけたことと思います。

 次の大きな行事はクリスマス会。ちょっとゆっくりした日々を送った後、クリスマス会も子どもたち一人ひとりの成長を育む活動を組み込み、練習に励みたいと思います。

 最後になりましたが、運動会の係やボランティアを引き
受けてくださった皆様、お世話になりました。ありがとうございました。
                       (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>10月のおたより
歌や音楽=神さまとの出会い
2018年9月26日
 ♪ とんぼの めがねは 水いろ めがね 
       青いお空を とんだから とんだから(作詞:額賀誠志)
 ♪ き き きのこ き き きのこ 
       ノコノコ ノコノコ あるいたり しない……(作詞:まど・みちお)

子どもたちが元気に歌う声が園長室まで聞こえてきています。そして、

 ♪ よろこばれる ひとになろう イエスさまのようなひとに
      あいをはこぶ ひとになろう イエスさまのようなひとに……(作者:不詳)

朝のお祈りが始まりました。このように、幼稚園の生活の中にはたくさんの歌や音楽があふれ、子どもたちは、わくわく、うきうきしながらその歌を歌ったり、時にはしんみりと歌の雰囲気を味わったりしています。

 言葉にメロディーをつけて表現する、それが人々の心を揺さぶるという体験は、幼稚園だけでなく私たちの生活の中にしっかりと溶け込んでいます。9月16日に引退された安室奈美恵さんの楽曲も、多くの人々の心に残るものとなっていました。そして、そのような歌を聴くだけではなく、カラオケでたくさんの仲間と一緒に歌ったり、気持ちがうきうきしたときについ鼻歌が出たりすることも、多くの人が体験しています。このように、歌や音楽は人々の心に潤いを持たせるものになっています。

 また、古今東西、音楽は人間と神さまをつなぐ重要な役割を果たしてきました。日本でも天照大神が天岩戸に隠れた時、天宇受売命(アマノウズメノミコト)がその前で舞い踊り、天照大神を岩戸から引き出したという神話が残っています。さらに、各地で行われるお祭りでも、笛や太鼓を用いたお囃子が大切な役割を担い、お寺で唱えられるお経も独特の旋律を持っています。

 カトリック教会でも、神さまを賛美する多くの楽曲がバッハやベートーヴェンを始め多くの作曲家によって作られました。また現代の日本でも、日本語で歌うことができる聖歌がたくさん作られて、日々の祈りやミサの中に用いられ、神さまへの祈りを支えてくれています。聖アウグスチヌスは「歌うことは愛している証拠」と、歌うことを通して神さまへの祈りをより深めることができるものだと人々に伝えています。

   草のそよぎにも、小川のせせらぎにも、耳を傾ければそこに音楽がある。(バイロン)

 神さまから作られた大自然の一部である人間は、その自然と調和することを通して心の安らぎを得ることができるようです。そしてその自然の生み出すリズムが、歌や音楽となって私たちをいやしてくれるのではないでしょうか。

   音楽とは精神と感覚の世界を結ぶ媒介のようなものである。(ベートーヴェン)

 秋の夜長、子どもと一緒に良い音楽を聴いたり、一緒に歌ったりするひと時を持ち、親子のふれあいを深めたり、神さまの大きな力に包まれていることを感じたりすることができると素敵ですね。
                        (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>9月のおたより
これまでに経験したことのない……
2018年9月4日
 猛烈な暑さが続いた今年の夏。気象庁は何度も何度も「これまでに経験したことがない、命に関わるような暑さとなるので、厳重に注意してください。」と呼びかけ、さらに観測史上初めて5日連続して台風が発生し、台風12号は通常とは反対に東海地方に上陸してから九州に向かって進むなど、今までに経験したことがない動きをしていました。夏休み前に発生し多くの被害をもたらした「西日本豪雨」では「これまでに経験したことのないような大雨に警戒してください。」という特別警報が繰り返し出されました。

 私たちの生活は「過去の経験」の上に成り立っています。「東日本大震災」のときには、過去の津波の教訓である「津波てんでんこ(津波の時は、一人ひとりがてんでんばらばらに逃げて命を守ること)」が再び脚光をあびていました。また、私たちにこれからの天候を知らせてくれる天気予報は、過去のデータをもとに「このような気圧配置の時はこのような天気になる。」という経験から予測され出されています。ところが、そのような過去の経験を超える「想定外」の出来事が起きることが数多く見られるようになってきました。

 これまでの経験が通用しないということは気象現象だけではありません。

 国際化が進み、海外での出来事が日本の私たちの生活に大きな影響を与え、昔のように日本の常識だけでは、ものごとを進めることができなくなりました。また、ICT(アイ・シー・ティー:Information and Communication Technology:情報通信技術)の発達に伴い、生活スタイルも大きく変化し、IoT(アイ・オー・ティー:Internet of Things:モノのインターネット=暮らしの中にある様々な道具がインターネットにつながり、スマホ等を使って操作したり、物同士が連携して作動したりする技術)という新しい言葉も誕生するなど、その進化には目覚しいものがあります。

  「今の子どもたちの65%は、大学卒業時に、現在存在していない職業に就く」
                           (キャシー・デビットソン)

 未来を生きる子どもたちにとって、過去の経験に基づいた知識を身につけるだけでは役に立たない世の中が訪れようとしています。そのような未来を生き抜くことができるように、日本の教育は「問題を見つけることができたか」「友だちの意見を聞き、自分の意見を言いながら問題解決に取り組むことができたか」「様々な考えを出し、解決方法を見つけ出すことができたか」という「新しい学力観」への転換が図られ、幼稚園教育もそのための土台を培うことが求められています。

 天使幼稚園でも、この精神に基づいて昨年度の「初心・笑顔・チャレンジ」をベースにしながら、「ステップアップ~ねらいの確認と振り返りを通して~」を今年の重点目標に掲げて歩んでいます。運動会やクリスマス会など、子どもたちを活かすことができるたくさんの行事があるこの2学期。新しい時代を生きる子どもたちに求められる「自由さ」「応用力」「コミュニケーション力」などの土台を育むことが出来るような取り組みを考えているところです。

 一つひとつの行事、そして日々の活動が、今までどおりではなく、「これまでに経験したことのない」事態に対応できる力の礎になり、子どもたちの中に生きていくことができるよう、取り組んでいきたいと思っています。

 2学期もよろしくお願いいたします。     (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>夏休みのおたより
変化や不思議を味わう夏休みを
2018年7月13日
 東京ではなかなか星を見ることができないけれど、今、空が暗くなる午後7時半すぎに空を見上げると、いくつもの明るい星を見つけることができます。西の空には宵の明星と呼ばれる金星が、そして南西の空には木星が輝いています。さらにその左、南東の空を見ると土星が出ています。もう少し遅い時間になると今度は南東の空に、赤い色の火星が昇ってきます。この火星は、今、地球に大接近してきているので、ひときわ大きく明るく輝いています。
 今週の月曜日の朝、東京でも激しい雨が降ったけれど、その後、夏空が広がりました。夏の空。午前中の雲はふわふわ浮かんで、ねこや魚、飛行機や船、花や人といろいろな形に変化していきます。先日も登園してきた一人の男の子が
「園長先生、犬がいるよ。」
と雲を指さしながら教えてくれました。午後になると遠くの空で雲がもくもくと盛り上がり、入道雲が姿を現します。日によってはそれが近づいてきて夕立を降らせます。

 火曜日の朝、幼稚園の通用門の掲示板の下で、セミの抜け殻を見つけたお友だちが、片手に図鑑を持ってその種類を確かめていました。これは何だろうと思ったときにすぐに調べてみる。それが科学を探求する第一歩となるものです。今、姿を見せ始めたセミだけれど、もう少しすると「ジリジリジリ」とアブラゼミや「ミーンミンミン」というミンミンゼミの賑やかな鳴き声が街中に響き渡り、やがてそれが「カナカナカナ」というヒグラシの鳴き声に替わり、ツクツクホーシが鳴き始めると夏の終わりを迎えます。

 水曜日の登園時間に、一人の女の子が
「園長先生、この石、温かいよ。さわってみて。」
と手に持った黒いすべすべとした石を差し出してきました。足元にある石を拾ったら、思いがけず温かかった。その驚きや楽しさからこの石を大切に持ってきたのでしょう。私に見せた後、その石をほっぺに当てながら嬉しそうにお部屋に向かっていきました。

 私たちの周りには、このように時期によってあるいは季節によって変化したり、ふと気付くと不思議に感じたりする自然現象がたくさんがあります。日々、同じリズムで生活をしていると、そのリズムに流され、ついつい身の周りの変化や不思議な出来事を見落としてしまいがちになるものです。でも、季節の変化を感じたり、不思議だなと思うことをたくさん見つけたり、そこでの気付きを大切にしもっと詳しく知ろうとしたりすることが、子どもたちの成長につながっていくものです。

 来週から夏休みが始まります。幼稚園がお休みのこの日々。いつもは早寝早起きをしなくてはいけないけれど、ちょっと遅くまで起きて、たくさんの明るい星を探してみたり、普段は行かないところに親子で出かけ、いつもとは違う発見をしてみたり、の~んびり自然の変化を楽しんでみたりする良い機会となるのではないでしょうか。

(おまけ)7月19日20時42分~45分と、7月20日19時50分~53分に、空を見上げていると、国際宇宙ステーション「きぼう」を見ることができますよ。明るい光の点がゆっくり動いていくので、すぐに分かります。詳しいことは、インターネットで「きぼう 見よう」と検索してみてください。
                            (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>7月のおたより
ふ れ あ い
2018年6月20日
 先週の「父の日の集い」。お忙しい中ご参加いただきありがとうございました。雨が心配されたものの、園庭での「エビカニクス」や、ふれあいゲームも無事実施することができました。また今年は、園長の話のとき、園生活のスライドショーを通して日頃のお子さまの様子見ていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

  子育てには「抱いて」「降ろして」「ほっといて」。
   子どもの発達に合わせた3段階があるといえるでしょう。
    =子どもはみんな問題児=(中川李枝子)より

 やがて成長し親離れしていく子どもたちだけれど、幼稚園に通う今は、親子がしっかりとふれ合い、子どもが安心してすごす中、自分は大切にされているんだと感じながら自己肯定感を育み、一方、悪いことをしたときにはきちんと叱ってもらい、善悪の判断ができる素地を養っていく、大切な時期にあたります。

 周りにいる人々によって守られ成長している子どもたちは、特にお父さんやお母さんは、自分の事をよく理解してくれる存在だと信じ、全幅の信頼を寄せています。教えたわけではないのに、寂しくなった小さな子どもの口から出てくることばは「ママがいい~」。

 「パパがいい~。」ということばが先に出るケースはまだ聞いたことがありませんが、それは子どもとふれ合う時間と深さの違いでしょう。でも「ママがいい~。」の背景には、信頼できるママとそのママを支えるパパの姿があるのす。ママと張り合う必要はないけれど、お母さんと同じように、お父さんも子どもとのふれ合いを意識していくと良いのではないでしょうか。

   家族とは、「ある」ものではなく、手をかけて「育む」ものです。
                                 (日野原重明)

 幼稚園時代の子どもたちは、親子での会話が成り立つようになる時期でもあります。おしゃべりが得意な子は、「聞いて聞いて」と、とめどなく話が湧き上がる一方、お話が得意ではない子は、何を聞いてもぽつんと一言返ってくるのがやっとというケースも見られます。この時期の親に求められるのは、一人ひとりの特性に応じて、心の奥にある声を聴き出してあげることです。そのために、じっくりと子どもの話を聞く姿勢を大切にすることはもちろん、日頃の子どもたちの様子を知っておくことも大切です。「親子(家族)だから何でも分かっている……。」ではなく、細やかな心づかいで子ども(家族)を観察し、相手を理解してあげる努力を惜しんではならないというのが日野原先生の教えです。

  子どもには子どもの言い分があり、言いなりにならないものだ。
   親はこの点を肝に銘じて振る舞わなければならない。
    子どもたちは親の所有物でもペットでもない。 
                          (カルロス・ゴーン)

 後数年すれば、子どもたちは親の子離れより先に、親離れをしていきます。「降ろして」「ほっといて」の時期になった時、親は子どもの自立を大切にし、喜びを持って迎えねばなりません。素直に親子で向き合える今だからこそのふれ合いを、大切にできるといいですね。
                         (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>6月のおたより
世 界 を 広 げ る
2018年5月24日
 今年の春の親子遠足も天候に恵まれ、広い砧(きぬた)公園で楽しく過ごすことができました。保護者の皆様、現地集合、解散にご協力いただきありがとうございました。子どもたちといっしょに踊った「エビカニクス」や、クラスごとのゲームは楽しんでいただけましたか? 

 砧公園は、以前ゴルフ場だった場所を公園にしたので、広い芝生の広場や、陽射しをさえぎる程よい木々があり、遠足には絶好の環境が整っています。

 お弁当が終わり、自然がいっぱいの広場で思い思いに遊び回っていた子どもたち。

 ひとりのお友だちが、お母さんとオオバコの茎で草ずもうをしていると、周りにいた子どもたちが興味深そうに集まり、早速オオバコの草ずもう大会が始まりました。
「太いほうが強いのよ。」
始めたばかりだけど、子どもたちは今まで学んできたさまざまな経験を使って、強いオオバコはどれかを考え、とってきては対戦。
「やったぁ!」「じゃあ、今度はこっち。」「この草、強いよ。」
と楽しんでいました。その近くでは、年少のお友だちが先生やお友だちから教えてもらいながらシロツメクサで指輪作り。すると年中さんや年長さんは、もっとたくさんのシロツメクサを編んでブレスレットや冠を作り、腕や頭につけて嬉しそうにしていました。

 木立の下では低く垂れ下がっている桜の枝をゆすり、低いところで枝分かれしているところではそれに乗ってミニ木登りに挑戦。あずまやの石垣では、
「ぼく、ここから飛び降りられるよ。」
と、身長よりも高い石垣から飛び降りているお友だちも。遠くを見ると、5~6人の男の子がモンシロチョウを追いかけて、お隣の幼稚園児が集まっている場所の横を抜け、200m近く離れたところまで駆けていっていました。街中では迷子になりそうなこの距離も、広い公園の中だと目が届きます。

 こうしていろいろな遊びを楽しんでいた子どもたち。ただ遊んでいるだけのように見えるけれど、子どもたちはこうして新しい体験をするたびに、五感を働かせながら、新たな知識を得、できるようになる技術を身につけ、自分の世界を広げていっています。このような子どもたちの成長は素晴らしいもの。その場ではすぐには分からないけれど、少し前の子どもたちの様子を思い起こすと、あんなことも分かるようになったんだ、こんなこともできるようになったんだと改めて気付かされるものです。

  子どもを不幸にする一番確実な方法は、
     いつでも、なんでも手に入れられるようにしてやる事である
                (ジャン・ジャック・ルソー)

 多くの可能性を秘めた子どもたちが、自ら育っていくためには、子どもたちがいろいろな体験をする環境を準備したり、子どもの気付きをじっと待ったり、子どもの「できた」という喜びに共感できる仲間やおとなが近くにいることも大切なこと。天使幼稚園での生活、活動、行事の一つひとつが、子どもたちの成長の糧となるよう、これからも子どもたちの気付きややる気、失敗を乗り越える心の強さや知恵を大切にしながら、子どもたち一人ひとりの世界を広げていきたいと思っています。 
                       (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>5月のおたより
できるようになったよ
2018年4月25日
 先日、2階の保育室を回っていると、1階のクラスの年長さんが、
「ケーキを作ったから、見に来てください。」
と、にこにこ笑顔で呼びに来ました。お部屋に行ってみると、かわいい飾りがついたおいしそうなケーキが! 年長さんにもなると、ずいぶんと立派な作品を作ることができるようになるものです。

 ただの粘土のかたまりを、自分がイメージしたものに作り変えていく。そこには作りたいものを考える想像力や、それを作り上げる技能などが求められます。そして、それが完成したときの嬉しさが、新たな活動への意欲へと高まっていきます。

 天使幼稚園では、年長さんになると英語の先生と一緒に、英語を楽しく学んでいます。
“Sit down please” “Make a circle”
など、基本的に英語だけで指示を聞き、行動に移します。まだまだ英語の知識はないけれど、先生のアクションやお友だちの様子を見ながら、少しずつその意味を理解し、行動できるようになっていきます。

 おとなになると、全くお手上げになるこのような場面でも、子どもたちはその場の状況や雰囲気から、先生が指示している内容を考え、英語を聞き取ることができるようになるものです。思い返せば、ことばについての知識が何もない赤ちゃんのころから、周りの人が発することばを聞くうちにその意味を理解し、単語から2語文、3語文と話せるようになり、さらには自分の思いを表現することまでできるようになる子どもたち。ことばを習得する力はおとな以上にあるようです。

 外遊びの時間、雲梯(うんてい)をしていた年中さんが、端から3つ目のバーまで渡ることができ、
「わたし、はじめて渡ることができたの。」
と、嬉しそうに報告してくれました。初めはぶら下がるだけで精一杯だったのに、次のバーに手を伸ばして渡ることができる、それは子どもにとって大きな成長の一歩です。

 このように、子どもの世界には「できるようになる」体験が数多く存在しています。粘土遊びだけでなく、真っ白な画用紙に色鉛筆やクレヨンを走らせると、思い思いの絵を描くことができ、覚えたことばを紡いでいくと、自分の思いや考えを人に伝えることができるようになっていきます。また雲梯だけでなく、総合遊具のすべり棒をすべって降りることができるようになることや、クライミングウォールの一番上まで登ることも、子どもたちにとって「できたという喜び」を感じることができる遊びのひとつです。

 21世紀の真っ只中を生きる子どもたち。今、その子どもたちに求められているのが「生きる力」です。いかにたくさんのことを暗記できたかという「従来型の学力観」から、「問題を見つけることができたか」「友だちの意見を聞き、自分の意見を言いながら問題解決に取り組むことができたか」「様々な考えを出し、解決方法を見つけ出すことができたか」という「新しい学力観」を土台とした学びの基礎を育てるために、天使幼稚園ではこの「できるようなったよ」という体験を大切にしていきたいと考えています。

 「幼稚園で泣かなかったよ。」「幼稚園でお友だちができたよ。」「大きな声でごあいさつをすることができたよ。」「モンテッソーリのお仕事でテープを編みこんでバッグを作ったよ。」「わたし100まで数えられるようになったよ。」…………。

 子どもたちが「できるようになること」は人それぞれ。でもその一人ひとりの「できた」という思いが、その子を育てていく礎となるものです。お子さまが「できるようになったよ!」と報告してくれたときには、全身全霊を込めてそれに共感し、子どもの内面から湧き上がる思いを大切にできるといいですね。
                       (園長 鬼木 昌之)
<2018年度>4月のおたより
ステップアップ
~ねらいの確認と振り返りを通して~
2018年4月9日

 春分の日には雪が舞っていたのに、その後、初夏のような陽気が訪れ、桜の木は始業式・入園式を待つことなく葉桜になってしまいました。それでも、ハナミズキのピンクの花や、モミジの鮮やかな若葉などが幼稚園を包み、子どもたちの進級・入園をお祝いしてくれています。

 72回目の春を迎えた天使幼稚園。昨年度は「初心・笑顔・チャレンジ」を目標に掲げ、多くの新しいことに挑戦し、未来を生きる子どもたちの力を培うことができるように取り組んできました。

  人間にとって最高の幸福は、一年の終わりにおける自己を、
   その一年の始めにおける自己よりも、
    遥かに良くなったと感ずることである。(トルストイ)

遥かに……とはいかないものの、昨年度は皆様方のご協力のおかげで、一歩一歩確実にあゆむことが出来ました。

 物事を進めるとき必要なステップに、「PDCAサイクル」があります。
   Plan(計画):従来の実績や将来の予測などをもとにして計画を作成する。
   Do (実行):計画に沿って実行する。
   Check(評価):実施していることがねらいや計画に沿っているかどうかを確認する。
   Act (改善):評価をもとに更なるステップアップを図る。

 新しい年度を迎えるにあたり、天使幼稚園でも昨年度1年間のあゆみを振り返り、更なるActに取り組むことができるよう、話し合いを重ね、計画を立てているところです。

   幸せになりたいならば、「あの時ああして いれば」と言う代わりに、
    「この次はこう しよう」と言うことだ。(スマイリー・ブラントン)

 1年間を振り返ると、順調にいったことばかりではなく、順調にいかなかったことも数多く思い浮かびます。学校でよく「評価」ということばを使います。「通知表・通信表」に5段階で示されたり、3段階評価に○を付けて伝えられたりもしています。それを見て「よく出来た」喜んだり、「点数が悪かった」とがっかりしたりするものです。でも、本来評価というものは、そこで喜んだりがっかりしたりするためのものではなく、良い面を伸ばし不足する面を改善していくための参考資料となるものです。

 天使幼稚園では昨年度の振り返り、評価を活かし、「この次はこうしよう」と前向きに進んでいくために「ステップアップ~ねらいの確認と振り返りを通して~」を今年の重点目標として掲げることにしました。

 「美しいこころ」「強いからだ」「明るいこども」という園のモットーを礎に、新しい時代を生きる子どもたちに求められる「自由さ」「応用力」「コミュニケーション力」などの力を育むことが出来るよう、今年度も保護者の皆様方と協力しながら、さらなるステップアップを図っていきたいと思います。

 今年度もどうぞよろしくお願いいたします。 
                          (園長 鬼木 昌之)

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