学校法人 聖フランシスコ学園 天使幼稚園
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<2019年度>卒園文集
自分らしく
2020年3月19日
 今年開かれる東京2020オリンピック・パラリンピックの招致アンバサダーを勤めた小谷実可子さん。小学生の時「シンクロナイズドスイミング(現在のアーティスティックスイミング)をしませんか」と誘われ「わたしは、何かに集中した時、長く息を止めるくせがある、一人で遊ぶ時マンホールのふたの周りをぐるぐる回って目が回ったところで寝転んでぐるぐる回る空を見るのが好き。なぜか逆立ちをするのが好き。歌手にあこがれていたから歌が好き。これってシンクロに向いているなあ。」と思ってシンクロを始めたそうです。その後、厳しい練習を重ね、1988年に開かれたソウルオリンピックのシンクロのソロとデュエットで、2個の銅メダルを獲得しました。

 将棋界で活躍している高校2年生の藤井聡太さんは、14歳2か月で四段に昇進してプロ入りを決め、デビューから29連勝して話題を集めました。藤井さんは5歳の時、おばあさんと一緒に将棋を始め、やがておじいさんにも勝てるようになり、どんどん楽しくなって将棋教室に通い始めたそうです。その後、小学校6年生で出場したプロ棋士も参加する「詰将棋解答選手権チャンピオン戦」で全問正解して優勝するなど活躍しました。藤井さんは、幼稚園時代モンテッソーリ園で過ごし、積み木を自分で組み立ててボールを転がすおもちゃを何時間も繰り返ししていたそうです。このような作業を通して先を見通す力が養われ、将棋の快進撃にもつながっていったのではないでしょうか。

 世の中には多くの分野で活躍している人がいます。でも、みんながみんなオリンピックの選手になったり、将棋のチャンピオンになったりできるわけではありません。世界中の人々は、それぞれの場所で自分の力を活かし、様々な仕事を受け持って支えあっています。そして、このお二人のように、子どもの頃興味を持ったことや好きなこと、得意なことが、未来に活かされるケースが多く見られます。

 新幹線や電車の種類をたくさん覚えている人、恐竜や怪獣が大好きな人、お絵かきがとっても上手な人、粘土を使っていろいろなものを作るのが得意な人、走るのが大好きでいつも園庭を駆け回っている人、本をたくさん読んでいる人、いろいろな機械の仕組みに興味を持っている人、歌や踊りが大好きで上手な人、小さなお友だちのお世話が得意な人、お友だちがいっぱいいる人………。ちょっと思い出すだけでも、天使幼稚園の中にもいろいろなお友だちがいるものです。一人ひとり顔が異なっているように、みなさんが興味を持っていることや好きなこと、得意なことは人それぞれです。そして、それがみなさんの「ぼくらしさ、わたしらしさ」につながっています。 

    私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、
     飛べる小鳥は私のように、地面を速く走れない。
    私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
     あの鳴る鈴は私のように、たくさんな唄は知らないよ。
    鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい。
                      (金子みすゞ)

 「わたしはわたし、ぼくはぼく!」神さまから一人ひとりに与えられたそれぞれの力を活かし、大きくなって活躍してくださいね。
「みんなちがってみんないい!」

 みなさん、卒園おめでとうございます。
                   (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>3月号
弥 生
 2020年2月21日
 いよいよ1年間の締めくくりの3月を迎えます。

 3月の和名は「弥生(やよい)」。寒い冬を乗り越えて、草木が弥(いや=勢いよく)生い茂ることからこの名が付けられました。また3月に入るとすぐに二十四節気のひとつ「啓蟄(けいちつ)」(今年は3月5日)を迎えます。こちらもまた「冬ごもりしていた虫たちが地中から出てくる頃」とされています。「蟄」には虫が土籠(つちごもり)りする、「啓」には閉じていたものを開くという意味があります。

 英語で3月は「March」(マーチ)です。それは農耕と軍事を司るMars(マルス)というローマ神話の神の名前に由来するそうです。古代ローマでは、厳しい寒さが続く冬の間は農耕もできず、また領土を広げる戦(いくさ)も休んでいました。そして、春の訪れと共に農耕に取り掛かったり、戦に出かけたりしたことから、3月がMarchと名付けられたとのこと。「行進曲」もMarchと呼ばれますが、これも軍神Mrasにちなみ、勢いよく前進するという意味が込められています。

 このように、洋の東西を問わず3月には暖かくなるこの月ならではの名が冠されました。

 3月といって思い浮かぶのは「雛(ひな)祭り」。その起源は中国から渡来した「上巳(じょうし)の節句」です。中国ではこの日、水辺で身を清め穢(けが)れをはらう習慣があったそうです。それが日本に伝わり紙で作った人形(ひとかた)に穢れを託して川に流す「流し雛」が生まれ、やがて平安貴族の間で宮中の暮らしをまねて遊んだ「雛遊び(ひいなあそび)」につながり、今のような豪華な雛飾りができました。また雛祭りは「桃の節句」とも呼ばれます。それはちょうど桃の花が咲く頃だから、あるいは桃には魔除(まよ)けの効果があるからと言われています。今の暦では、まだ桃の花が咲くには早い時期ですが、今年は3月26日が旧暦の3月3日にあたり、ちょうど桃の花の季節に重なります。

 3月20日は「春分の日」です。昼と夜とが同じ長さになるこの日は、1948(昭和23)年から「自然をたたえ、生物をいつくしむ」日として国民の祝日になりました。またこの日は、春のお彼岸の中日(おひがんのちゅうにち)にあたります。仏教では太陽が真西に沈むこの日は、西にあるご先祖様がいる世界「彼岸」と私たちの世界「此岸(しがん)」が最も通じやすくなるとされ、この日はご先祖様を供養したりお墓参りに行ったりする日とされています。

 お彼岸といえば春は「ぼたもち」秋は「おはぎ」を食べる習慣があります。それは餡(あん)に使われる小豆には悪いものを追い出す力があるとされているからのこと。「ぼたもち」は春に咲く牡丹から、「おはぎ」は秋に咲く萩からその名が付けられ、また小豆を収穫した秋はまだ殻(から)が柔らかいので粒餡に、殻が固くなる春は小豆をつぶしてこし餡にしているともいわれています。

 カトリック教会でも「春分の日」は特別な意味を持っています。イエスさまが復活されたことを記念する復活祭は「春分の日の直後にくる満月の次の日曜日」と決められています。月の満ち欠けは1か月かかるので、早い年は3月下旬に遅い年は4月下旬に復活祭を迎えますが、その基準は暖かくなるこの季節に迎える春分の日になっているのです。

 「弥生」にゆかりのあるものは他にも「春雷」「春一番」「おぼろ月」「椿」「鰆(さわら)」そして「卒業」……。まだまだたくさんのものがあります。このような暮らしに根差した行事や習慣、出来事、言葉には、昔から生きてきた人々の思いや由来がかくされています。何となく迎えている日々の行事などに込められた願いや理由を掘り起こしながら、一つひとつの行事を味わってみられるといいですね。
                       (園長 鬼木 昌之)
 <2019年度>2月号
本と親しむ
2020年1月24日
 私が天使幼稚園に来た2016(平成28)年に生まれた子どもたちが、今年の4月には年少さんになり、翌年生まれた子どもたちが、エンジェルクラスに入ってきます。当時、まだ生まれたばかりでママに抱っこされていた小さな子どもたちが、今ではしっかり自分の足で歩き、お話もいっぱい出来るようになりました。また、私が入園面接をして迎えた子どもたちが、もうすぐ卒園の日を迎えます。まだまだ幼さが残っていた子どもたちが、もう、しっかりお兄さんお姉さんらしくなり、小さい子のお世話をしたり、自分の考えをしっかりと伝えてくれたりするようになりました。共にわずか3~4年の間なのに、その成長は目覚しいものです。

 これだけ大きく成長する子どもたちだから、この時期、何に関心を持ち、日々どのように過ごし、何を学び、何を身につけていくかは、子どもたちの未来に大きな影響を与えるものです。

 昨年リチウムイオン電池の基本形を完成させた功績が認められ、ノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんは、小学校の先生が勧めてくれた「ロウソクの科学」(ファラデー:著/三石巌:訳)を読んだことが「科学への興味の原点」と話されています。2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞された大隅良典さんもこの本を読んだことが「科学者を志すきっかけになった」と話されていました。一冊の本との出会いがお二人の未来、功績へとつながりました。

 本といえば、テレビなどで活躍し、昨年7月に「まなの本棚」(小学館)を出版した、芦田愛菜さんの読書も大きな話題になっています。

 今、中学3年生の芦田さん。昨年11月9日に行われた「天皇陛下の御即位をお祝いする国民祭典」での祝辞も、落ち着いた態度、そしてその祝辞の内容の素晴らしさが賞賛されています。その根幹にあるのは幼いころからの読書だったそうです。芦田さん自身も「本が好きで読んでいく中で、私の根底になったと言うか、土台を作ってくれたと思います」と話しています。

 芦田さんは3~4歳ころから、両親からの読み聞かせを含めて、本とふれ合ってきたそうです。また、「小さいころから両親が図書館から借りて来て、本は身近な存在でした。『なぜ、本を好きになったか』というのを覚えていないです。本を読むことは歯磨きや入浴することと同じくらい当たり前な日常なのです。」とも話しています。芦田さんが小学校3年生の時には「ドラえもんからだシリーズ」(小学館)を読んだことがきっかけで人体に興味を持ち、その年の誕生日プレゼントには、臓器を取り外せる人体模型をねだり、今でも医学の道に進みたいという希望も持っているそうです。さらに「本は想像力を働かせ、自分以外の誰かを疑似体験し、誰かの人生を歩むことができます。」と、物語を読むことを通して、いろいろな人々のさまざまな思いや考えにふれ、多様な人生を疑似体験できると、その良さを語ってくれています。

 国際化が進み、激しく変化していく未来を生きる子どもたちに必要なものは「自ら考え」「問題を見つけ」「多くの人とのコミュニケーションを取りつつ」「課題を解決していく」能力とされています。その土台となるのが、ことばを使って物事を論理的に考える力になります。

 文部科学省は「国語力を身に付けるための国語教育の在り方」の中で「前頭前野の神経細胞が急激に成長する乳幼児の脳の発達に最も重要なのは、親子のコミュニケーション通して語句・語彙力を身に付けること」「幼児期には、読み聞かせや読書により言葉の数を増やし、さらに『言葉と社会や事物との関係』を習得するために、家庭や地域で多くのさまざまな経験を積ませ、情緒力や想像力を身に付けること」と記しています。

 一人ひとりが、自分の未来を切り拓いていく力を育むために、たくさんの本と出会う環境を整えてあげることが、今、求められています。 
                   (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>1月号
時代の変化の中で
2020年1月8日
あけましておめでとうございます

 新しい年2020年がスタートしました。令和初のお正月と天皇誕生日(2月23日)が訪れ、東京オリンピック(7月24日~8月9日)とパラリンピック(8月25日~9月6日)が開かれる年。近くでは山手線の「高輪ゲートウェイ駅」が開業し(3月14日)、遠くからは小惑星「リュウグウ」を探査した「はやぶさ2」が地球に戻ってきます(本年末の予定)。

 また、第2次世界大戦終結から75周年、大阪万博から50周年、ベルリンの壁崩壊から30周年、任天堂のスーパーファミコン発売から30周年、BSデジタル放送開始から20周年という年でもあります。科学技術の発達で目まぐるしく発展してきたこの年月(としつき)。その一方で地球温暖化が進み、昨年は相次ぐ大型台風や豪雨によって日本各地に甚大な被害がもたらされたり、海外では森林の大火が問題になったりするなど、環境の変化が大きくなってきています。

 先日、学研教育総合研究所が、平成元年と令和元年に幼稚園児・小学生を対象に行った「将来就きたい職業」ランキングを発表しました。平成元年には多かった幼稚園や学校の先生に替わり、パティシエやYouTuberがベスト5入りをしています。他の機関の同様の調査を見ても、男子ではゲームクリエーターやYouTuber、女子ではパティシエと、平成元年にはそのことばさえ存在していなかった職業が上位にランクインしています。こちらもまた、その変化の大きさに驚かされます。


 かつては「十年一昔」といわれていましたが、現代社会は加速度的に変化していっています。今、幼稚園で育ちゆく子どもたちが社会を支えている20~30年後には、今では思いもつかないような仕事をしている人もいることでしょう。

 そのような子どもたちに関して気になる調査結果が発表されています。ひとつは昨年度15歳児を対象に行われた「国際学習到達度調査(PISA)」で、日本の子どもたちの読解力が15位にまで下がったことです。そして、もうひとつはスポーツ庁が小学校5年生と中学2年を対象に実施した「全国体力運動能力運動習慣等調査」でいずれの学年も低下傾向が見られ、特に5年生男子は過去最低を記録したことです。その原因として挙げられていたのがテレビやスマートフォン、ゲーム機などを視聴したり遊んだりする時間が増加していることでした。そのため、子どもたちの読書時間が減ったり、外で遊ぶ時間が減ったりして、思考力や体力面の低下につながっているとのこと。将来どんな職業に就くにしても、健康で知性を備えた「おとな」にならなくては、その力を発揮することはできません。

 「子どもは風の子」寒さに負けず元気に外を駆け回り、「読書百遍意自ら通ず」ということわざに表されるように、たくさんの本を読む中その意味を理解し、自分の考えをしっかり持つことができる「おとな」に育っていくことができるよう、日々の暮らしを見つめなおす新年にできると良いですね。
                  (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>冬休み号
フランシスコ教皇
2019年12月19日
 日本のカトリック教会今年一番の出来事といえば、1981年に当時の教皇、ヨハネ・パウロ2世が来日して以来、38年ぶりにフランシスコ教皇が日本にいらっしゃったことでした。

     あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの
     教会を建てる。陰府(よみ)の力もこれに対抗でき
     ない。わたしはあなたに天の国の鍵を授ける。あ
     なたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。
     あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。
                   (マタイによる福音書16章16-19)

 イエスさまが使徒たちのかしらに選び、天の国の鍵を授けたシモン・ペトロ。そこから、脈々と引き継がれてきた、信徒を導くリーダーである教皇の行動やメッセージは、常にその時代に生きる人たちの指針となるものです。

 教皇に選ばれた方は、自ら教皇名を選びます。その名前には教皇が大切にしていきたいと思う理念が込められています。2013年ベネディクト16世退位の後を受けた現教皇は、アッシジの聖フランシスコの名をお選びになりました。

 アッシジの聖フランシスコ(1181年-1226年)は、13世紀(日本でいえば鎌倉時代)に、イエスさまの教えに従い、仲間と共に清貧と愛の生活を続けて多くの人びとを感化し、当時の乱れた教会を建て直そうした聖人でした。人間や動物さらには太陽や星など、あらゆる被造物(神さまから造られたもの)を愛した聖フランシスコは「太陽の賛歌(あらゆる被造物の賛歌)」の中で、太陽や月、星、風、水、大地など、神が作られたすべてのものは神を賛美していると歌いました。フランシスコ教皇は、その精神を自らの進むべき道と示し、この名前を付けられました。

 ちなみに天使幼稚園の設立母体である「お告げのフランシスコ姉妹会」、そして天使幼稚園の法人名「聖フランシスコ学園」も、この聖フランシスコに由来し、その精神が活動の根底にあるのです。玄関左の階段にあるモザイク壁画も、聖フランシスコがすべての自然を愛した様子が表されています。

 フランシスコ教皇は「すべてのいのちを守るため~PRPTECT ALL LIFE」というテーマのもと来日され、短い滞在の間に、被爆地である長崎や広島を訪れたり、東日本大震災の被災者の方々や青年たちにお会いになったり、東京ドームでミサを司式したりして、多くのメッセージを伝えてくださいました。各地で述べられたメッセージの根幹にあるのは、神さまから造られたすべてのものを慈しみ大切にするというアッシジの聖フランシスコの思い、そしてその土台となるイエスさまの教えでした。

   ① 原子爆弾を保持し互いに牽制しあうことでは、本当の平和は訪れない。
     真の平和は互いに許しあい、認め合い、援け合う中から生まれる。(平和の希求)
   ② 社会の中にいる弱者に寄り添って生きることを大切に。(弱者へのいつくしみ)
   ③ 神さまのみ旨を実践しなさい。(神の国の実現に向けての働き)

 これらのメッセージを通して、互いに認め合い、許しあい、援け合うことの大切さを教えてくださったフランシスコ教皇。もうすぐクリスマス。貧しい馬小屋で生まれ、自ら貧しい人、弱い人、小さな人を愛し、友となってくださったイエスさまのように、わたしたちも多くの人たちの友となることができると良いですね。

   「はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、
    わたしにしてくれたことなのである。」(マタイによる福音25 章40)
                           (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>12月号
共 感
2019年11月22日
 先日あるテレビ番組を見ていると「共感」をテーマに取り上げていました。その中で、お母さんがお父さんに子どものことを相談していると、お父さんがそれはこうするべきだと話し、それに対してお母さんは「そうではなくて。」と、もやもやする気持ちが湧き上がってきたという場面が紹介されました。お母さんとしてはどうすれば良いかを指示されることより、自分の気持ちを分かってほしいという思いが強いのに、それを理解してもらえず、もやもやした気持ちになっていたようです。
 
 そこで登場した専門家が、男性はかつて家族を養うために狩に出かけ、どうすれば獲物をしとめられるかを考えたという経験から、どちらかというと論理的な視点を持ちやすく、女性はその間に子どもを育て、まだ話ができない子どもの思いを推し量り共感するということを大切にする傾向があり、それが男性、女性それぞれの特性となり、すれ違いが起きる原因になることがあると話していました。

 ここで取り上げられた「共感すること」は、人と人とが共同で社会生活を送る中、とても重要なものであり、まして子どもたちを育てていく時、子どもの思いに共感してあげられることは本当に大切な位置を占めています。

 わたしが幼稚園に通っていた時の出席帳の5月のページを開くと、2週間近くお休みが続いています。その時期、幼稚園に行くのがいやでずっとお休みしていたのです。ある日、叔母が一緒に出かけようとわたしを連れ出しました。「ようちえんにいかない?」「うん、いかないよ。」と言いつつ、幼稚園に連れていかれ、大泣きしつつ先生に預けられました。その日の帰り、また叔母が迎えにきて、もう泣き止んでふつうに過ごしていた様子を見て「ほら、やっぱり楽しかったでしょう。」と。そのとき、そんなに楽しくなかったのに、一方的に「楽しかったでしょう」と言われて嫌だったことを鮮明に覚えています。あの時「今日はどうだった?」と聞かれていたら、もっと違う思いを持ったのではないでしょうか。

 小学校に入ると教会の土曜学校に通うようになりました。自宅から1kmほど歩いてバスに乗り、2停目で降りて、また700mほど歩き教会までたどり着きます。当時、毎週こうして教会に通うのがいやで、いつも休みたいと思っていました。2年生になったある日のこと、その日も行きたくないのをがまんして土曜学校に行きましたが、開始時間にちょっと遅れてしまいました。当時、土曜学校に行くと「こじか」という子ども向けの雑誌をもらっていました。その日は「こじか」が足りなかったのでしょう。担当の神父様から「今日は遅れてきたから罰で、こじかはあげません。」と言われました。行きたくないのをがんばって出席したのに罰を与えられるなんて。その日の夜、両親にあの神父様の土曜学校には絶対行かないと宣言し、しばらく教会学校を休む日が続きました。これも、「どうして遅れましたか?」と聞いてもらえていたら、もっと異なる対応をしてもらえたのではないでしょうか。

 どちらももう60年以上も前の出来事だけれど、これほどはっきり覚えているということは、理解してもらえなかったという思いはそれほど大きかったようです。

 おとなになると、自分の体験や価値観で、子どもたちもこう思っているだろうと考えたり、子どもたちの思いを推し量ることなく、こうしなさいと指示したりすることが数多くあるもの。でも、子どもには子どもなりの思いがあるものです。そのような一人ひとりの思いを聞き出し、共感しながら子どもたちと接してあげることができると、子どもたち一人ひとりも心穏やかに過ごし、もっとがんばろうという気持ちを持つことができるのではないでしょうか。日々の生活の中、目の前の子どもの思いに「共感できているかな」と立ち止まって考えることって大切ですね。

 ところで、そんなわたしも、高校生になると3年間無遅刻無欠席を続けて皆勤賞を頂いたり、カトリック高校生会の活動にのめりこんで教会に入り浸りになったりするのですから、先のことは分からないものです。
                     (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>11月号
できたよ
2019年10月30日
 園庭にある総合遊具「木のおうち」。安全に配慮しつつ、子どもたちの発達に必要な力を育てる工夫がこらされています。特に小さい子が大好きなすべり台をするためには、縄を編んで作った網の橋を渡るか、高い丸太の階段を登っていかなくてはいけません。

 10月の園庭開放の日、小さなお友だちがすべり台をめざして網の橋を渡っていました。下が透けて見えるし、網の隙間に足がすっぽり入ってしまうので、小さいお友だちにとっては大冒険。でもお母さんに励まされながらこわごわ渡っていきました。この橋は登り坂になっています。特に橋から上の台に移るところが最後の難関です。「ほら、もう少し。がんばって!」お母さんの声に最後の一歩を踏み出し、上の台にたどりついたお友だちは思わずにっこり!!そのまますべり台めがけてトントントンとかけていきました。すべり台をすべり終えると、再び網の橋渡りに挑戦。2度目はスピードも増し、上手に渡ることができるようになっていました。一つの壁を乗り越えたお友だちは、その後、何度も網の橋渡りとすべり台を繰り返していました。

 木のおうちにはすべり棒も設置されています。小さなお友だちは、囲いがないすべり棒の方ではなく、台の奥を通ってすべり台に向かいます。やがて年長さんや年中さんがすべり降りる様子を見ていた年少さんは、ぼくも、わたしもできるかな?と、すべり棒に挑戦。初めはこわごわ棒を握るところから始め、やっぱりこわいなと後ろに下がっていきます。そんなことを何度か繰り返すうちに両手でしっかりと棒を持ち、先生やお友だちからの「足で棒をはさむんだよ。」というアドバイスを受けながらスーッとすべり降りることができるようになっていきます。初めてすべり降りることができたときの満足そうな顔。また一歩お兄さんお姉さんになったという思いが伝わってきます。

 幼稚園入園前から幼稚園時代を通して、今までできなかったことが一つひとつできるようになり、おとなが驚くような成長を見せてくれる子どもたち。それは、周りのおとなが無理強いしなくても、自分がしたいことを見つけ、挑戦することを通してできるようになっていくものです。

 天使幼稚園が取り入れているモンテッソーリ教育の根幹にあるのが、まさにこの「自分で選び」「できた」という喜びを次へのステップとし、子どもの持っている力を引き出してあげること。子どものために環境を整え、子ども自身がやってみたいことに挑戦できるよう導き、それを自分の力で乗り越えたり、何かを作り上げたりする。それが子どもたちの「未来を生きる力」につながっていきます。

 11月6日(水)9時30分から「子どもの本当の力を引き出す!モンテッソーリ教育」というテーマで公開講演会を予定しています。今回は家庭でもできるモンテッソーリ教育についてもお話してくださる予定です。天使幼稚園で育ち行く子どもたちが体験しているモンテッソーリ教育について、お話を聴き役立てていただければと願っています。
                           (園長 鬼木 昌之)

≪おまけのクイズ≫
*上の絵の中で遊んでいるお友だち24人を探してみてください。くまさんとうさぎさんは人数には入りません。
*23人しか見つけられなかった方へ=ちょっと分かりにくいけれど、屋根裏部屋から顔を出しているお友だちが1人いるのに気付きましたか?
<2019年度>10月号
何もないところから
2019年9月25日
 天使幼稚園では早くお弁当を食べ終わったお友だちは、絵本を読んだりお絵かきをしたりしながらごちそうさまのお祈りの時間を待っています。お絵かきをしているお友だちは、思いのままにクレヨンを走らせて抽象画を描いてみたり、クネクネと線を描き「えんちょうせんせい、このめいろできる?」と話しかけてきたり、かわいいお姫様の絵を描いて見せてくれたりと、一人ひとり、心のおもむくままにお絵かき帳に向き合っています。

 中には真っ白なページを早く使ってしまおうと、線や丸をちょっと描いては別のページに移っている子も。
「えんちょうせんせい、もうかくところなくなったよ。」
「まだ、白いところがいっぱい残っているから、このページに描いてごらん。」
子どもの中には絵を描くことではなく、お絵かき帳を使いきることに重きを置いて遊んでいるケースもあるようです。「お絵かき帳は絵を描くもので、無駄遣いしないよう最初のページから順番に使いましょう。」というのが一般的なおとなの感覚です。でも子どもたちはその感覚とは異なり、独自の使い方や遊び方を見つけ出し楽しんでいるようです。

「えんちょうせんせい、ポケモンのなまえしってる?」
その後ろから担任の先生が
「園長先生には難しいんじゃないの?」
と声をかけてくれました。
「ピカチューだけは知っているけれど、その他はわからないなあ。」
「じゃあ、ピカチューのしんかけいの○○は?」
もう、全くついていくことができません……。子どもたちの周りにあふれている様々なキャラクターや遊び道具。プロの業者によって作り出されたこれらのものに、子どもたちが引きつけられていくのは必然的なことでしょう。

 その一方、たとえそのようなおとなが準備したおもちゃ等がなくても、遊びを作り出すことが出来るのも子どもたちの特性です。

 春の遠足で砧公園に行ったとき、広い芝生を駆け回ったり、低く伸びた木の枝に登ってみたり、地面から2mほどのところにある木の洞(うろ)に小枝を投げ込んでみたり……。そこにおもちゃなどはなくても、子どもたちは遊びを創り出し楽しんでいました。先週あるクラスの担任が「園長先生、見てください。電車が好きな年長の男の子が、モンテッソーリのお話絵本作りの用紙を使って、電車の図鑑を作ったんですよ。」と、電車の絵を描きそれぞれの電車の特徴をまとめた“電車絵本”を見せてくれました。その内容を読むと、電車好きならではの話題が満載!自分が興味を持っていることを活かし“電車絵本”を作ったその姿に感心したところでした。

 未来を生きる子どもたちにとって大切な力のひとつ。それが「何もないところから何かを生み出すことができる力」です。今、子どもたちの周りには、テレビやキャラクター商品、スマホなどのゲームが満ち溢れ、子どもたちはそれらを使って楽しそうに遊んでいます。でも、それらがなくても遊びを創り出すことができる子どもたちに、多くの物を与えすぎ「何かを生み出すことができる力」を発揮させないことは、とてももったいないことだと常々感じています。

 毎月皆様にお届けしている「園長だより」。これもまた、何も書いていない真っ白なワードの画面に向かい、キーボードを打つうちに、一つのメッセージが完成します。今月の園長だよりも、昨日の午後、書くことが決まらないまま、最近の子どもたちの様子やふれあいを思い出しつつ書き始め、今日の午前中に完成しました。何もないところに文章が連なり、メッセージが完成するのはなかなか楽しいものです。

 子どももおとなも、「何もないところから何かを生み出す喜び」を味わうことができる日々を送ることができると素敵ですね。
                    (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>9月号
スマイルシンデレラ
2019年9月3日
 今年の夏、渋野日向子さんが全英女子オープンで日本人2人目のメジャー優勝を成し遂げました。42年前に全米女子プロ選手権を制した樋口久子さん以来とのこと。いつも笑顔を絶やさない渋野さんは「スマイルシンデレラ」と呼ばれ、その笑顔がテレビにもあふれていました。小学校2年生からゴルフとソフトボールを始めた渋野さんは、その当時はミスをするとよく泣き、中学1年生の時のゴルフの練成会では思うようにスコアが伸びず、ふてくされたりイライラしたりしていたそうです。でも、なぜ自分が注意されているのかが分かるタイミングで叱ってもらい、その夜、家族と一緒にそのことについて話し合った結果、感情を抑えることの大切さに気付いたそうです。

「前は喜怒哀楽を表に出していました。でも、それだとスコアが悪いと気づき、今は何があっても笑っていれば何とかなると思っています。今日の勝因?やっぱり笑顔ですかね。」(渋野日向子)

 脳科学の発達で科学的にも笑顔の効果が明らかにされています。笑うことを通して学習をつかさどる海馬に血流が巡り記憶力がアップする。笑うことでアルファー波が出てリラックスすることができる。笑顔を作ることで幸福ホルモンであるセロトニンの分泌量が増え、コルチゾールやアドレナリン、ドーパミンなどのストレスホルモンを減少させる。これらの結果、免疫力がアップしたり、脳が活性化したり、ポジティブ(プラス思考)になったり、アンチエージングに役立ったりしているそうです。

 また怒っている時、落ち込んでいる時ほど笑顔が必要だとSr.渡辺和子さんは教えてくれています。

「微笑みを忘れた人ほどそれを必要とする人はいない。相手の出方に左右されることなく私の人生を笑顔で生きるということ。」(Sr.渡辺和子)

今話題になっているあおり運転をしている人にも、ぜひ聞かせたい言葉です。

 笑顔は自分を高めるだけではなく、周りの人も巻き込んでいきます。

「泣いている人、困っている人、お腹がすいた人、みんな僕の顔を食べると、ニコッと笑顔になるんだ。その笑顔を見るとね、嬉しくて僕も自然に笑顔になる。」(アンパンマンのせりふより)

 自分が笑顔でいることだけではなく、周りの人を笑顔に導いていくことができるようになると、その笑顔がさらに昇華されていきます。

「親切で慈しみ深くありなさい。
あなたに会った人がだれでも前よりももっと気持ちよく明るくなって帰るようにしなさい。
親切があなたの表情に、まなざしに、ほほえみに、温かく声をかける言葉にあらわれるように。
子どもにも貧しい人にも苦しんでいる孤独な人すべてに
いつでもよろこびにあふれた笑顔をむけなさい。
世話するだけでなくあなたの心をあたえなさい。」(マザー・テレサ)

 アンパンマンもマザー・テレサも自分に与えられた力を、周りの人のために役立てたいという強い信念のもと行動し、それを通して人々から笑顔を引き出すことにつながっています。世界中のすべての人が、周りの人を笑顔にしたいという気持ちで行動すると、世界中に笑顔があふれることでしょう。笑顔の連鎖を、先ずは身近な天使幼稚園から広げることができるよう、みんなでこころがけていきたいものですね。

「笑顔は買うことも、強要することも、借りることも、盗むこともできない。無償で与えて初めて値打ちが出る。」(デール・カーネギー)
               (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>夏休み号
興味関心を広げる夏休みを
2019年7月16日

 お弁当の時間、クラスを回り子どもたちとお話をしていると、いろいろなことを教えてくれます。
「ねえ、園長先生。レッドとブルーとイエローとグリーンとピンクのレッシャーが合体したらトッキューオウになるんだよ。」
と男の子が教えてくれていると、今度は女の子が、
「わたしのスプーンいれ かわいい?これがシンデレラで、これがアリエルで、これがラプンツェルでこれがエルサ。この雪だるまはオラフ。」
これに限らず、子どもたちは自分が好きな電車や恐竜、また様々なキャラクターなど、おとながついていくことができないくらいたくさんの名前を知っています。興味があることに関して発揮するその記憶力、おとなも少しは分けてほしいほどです。

 今、日本の子どもたちの周りには多くの玩具があふれ、テレビ番組でも子どもたちの興味を引きつけて、常に新しい玩具を買いたくなるように、次から次へと新しいキャラクターやグッズを登場させています。子どもたちが喜ぶならば、あるいは他の子どもたちが持っているなら同じものを与えてあげようと、求める物を次々に買ってあげる家庭も数多く見られます。そしてたくさんの物をもらった子どもたちは大喜びでそれを使い、記憶力を発揮してそれらの名前や機能を覚え楽しく遊ぶことができています。

 子どもたちが持っている素晴らしい記憶力は知識へとつながります。その力をこのようなキャラクターなどを覚えることだけに使ってしまうのはもったいないものです。

 先週の火曜日、体操教室やチアリーディングのお迎えの時間、子どもたちや保護者の方が掲示板横の花壇をのぞき込んでいました。何かなと思って行ってみると、セミの赤ちゃんがサナギから出てきたところでした。出てきた時は逆さまだったけれど、足を伸ばし殻(から)につかまって上を向き、畳(たた)まれていた緑色の羽が少しずつ伸びていきました。その様子を見ている子どもたちの目はキラキラ輝き、これからどうなるのかなと興味津々(きょうみしんしん)見つめていました。この羽が硬くなり茶色に変わると、空に向かって飛び立ちます。でもセミが飛び立つまではまだ1~2時間以上かかるので、残念ながら飛び立つところまで見ることはできませんでした。

 先週の木曜日には「はやぶさ2」がリュウグウに再着陸し、岩石の採集に成功しました。これを持ち帰ると生命の誕生や太陽系の成り立ちについてさらに研究が進むといわれています。

 このように少し視野を広げると、私たちの周りには自然の出来事や科学的な事象が数多く取り囲んでいることが分かります。子どもたちの視線をちょっと誘導してあげると、子どもたちは自然や科学の世界が持つ不思議さや偉大さ、おもしろさに引かれ、興味関心を広げていくことができるものです。そして自分が興味を持ったものをもっと深く知ろうとする探究心が、一人ひとりの子どもたちの知識や可能性を広げる原動力となっていきます。

 これから長い夏休みが始まります。幼稚園に通わないこの期間は、子どもたちが数多くの未知の体験をする大きなチャンスでもあります。自然といっぱいふれ合ったり、知的好奇心を高められるような科学館などを訪ねたり、日常生活の中ちょっとした出来事から「なぜ?どうして?どうなっているの?」という疑問をふくらませたりしながら興味関心を広げ、未来につながる力を育むことができるよう、周りのおとなが心配りをしてあげられるといいですね。良い夏休みをお過ごしください。
                      (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>7月
自己肯定感を育む
2019年6月21日
 先週の父の日の集いは、雨の中おいでくださりありがとうございました。外での体操やゲームはできなかったけれど、それぞれのお部屋で一緒に体操をしたり“たかいたかい”をしてもらったりしている子どもたちの顔からは、いっぱいの笑みがこぼれていました。子どもたちにとって、こうして自分と深くかかわり大切にしてくれる人の存在は、とても心地よくうれしいものです。

 父の日の集いでお話ししたように、現代社会において「自己肯定感」の大切さが改めて見直されています。年中・年少さんの保護者会で紹介した「子どもが育つ魔法の言葉」(ドロシー・ロー・ノルト)の中に「子は親の鏡」という詩が載っています。

  「誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
    愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
     認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる」(一部抜粋)

 自分を育ててくれている周りのおとなに、全幅の信頼を寄せ成長している子どもたちにとって、周りの人の優しさに包まれ安心して過ごしていることが「自分は愛されている、掛け替えのない大切な存在なのだ」という「自己肯定感」につながっていきます。

 さらに「自己肯定感」を育むためには、このように子どもを愛し、誉めたり、認めたりすることと同時に、子ども自身の「自己決定力」が欠かせないという研究があります。何もかも周りの人がお膳立てし、自分で決めることを奪われた子どもは、本当の意味での自分の良さに気付いたり、発揮したりするチャンスを失ってしまうというものです。それはモンテッソーリ教育の理念のひとつ「自分で選び」「こころ行くまで取り組み」「できたという達成感を味わう」ことにもつながっています。

 「頑張るとしたら自分の限界。
   その時に、自分の中でもう少しだけ頑張ってみる、
     ということを重ねていってほしいと思います。」

 これはイチロー元選手が、野球大会で子どもたちに贈ったことばです。子どもたちが成長するためには、壁を乗り越える体験も必要です。でも、その壁は決して乗り越えられないような高いものではなく、自分の今の限界を少し上回り、自ら進んで挑戦することで乗り越えることができるものであることが、その子の力を伸ばす原動力になります。そして、その壁を、自らの意志で挑戦して乗り越え、それを周りから認められることを通して「自己肯定感」を高めていくことができるものです。

 「自分が生きていく上での参考書、
   自分を肯定し、常に激励してくれる人を持つということ、
     これは人生をより豊かに、 
  幸福に満ちたりたものにする秘訣ではないか」
             (井深 大:ソニーの創業者の一人)

 子どもへのこころ配りだけでなく、私たちおとなも互いの良さを認め合い、共に「自分は掛け替えのない存在なんだ」という「自己肯定感」を持つことができるつながりを深めていくことが出来ると素敵ですね。
                (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>6月
風にのせて
2019年5月27日
 今年の春の親子遠足もお天気に恵まれ、砧公園で楽しく過ごすことができました。その1週間前の週間天気予報では、雨マークがついていたので心配していていましたが、「最近、砧公園への遠足の日、お天気が悪かった記憶はないから大丈夫だと思いますよ。」という、ベテランの先生の予言?通り、絶好の遠足日和となりました。

 風薫る五月ということばがあるように、若葉が芽生え、その香りが漂うさわやかな風を感じることができるのもこの季節です。今年の遠足も心地よい風を感じながら、みんなと一緒に楽しい時間を送ることができました。その一方、先週の火曜日は久しぶりの強い雨に加え、ちょうど朝のドライブの時間に激しい風が吹きぬけ、お迎えをしていた私がさしていた傘が壊れてしまいました。このように、あるときは優しく、あるときは厳しく私たちの周りに吹いている風。

「風がどこから」という聖歌があります。

 ♪ 風がどこから 吹いてくるのか 人はだれも知らない
      愛を呼び覚まし 心を潤し いつの間にか 
         わたしの中を 吹き抜けてゆく
   それは気高い キリストの思い 
      どこへ風は吹いてゆくのか 誰も知らない。♪
                    (典礼聖歌386番 作詞 菅野 淳)

 ここに歌われている“風”はいつも私たちと共にいてくださり、私たちを導いたり援けたりしてくださる神さま「聖霊」を示しています。聞きなれない「聖霊」という呼び方ですが、天使幼稚園でも、お祈りの初めや終わりに「御父(ちち)と御子(こ)と聖霊のみ名によって。アーメン。」と唱えるなど、さりげなく幼稚園の生活の中に入りこんでいます。

 人としてお生まれになった「“御子”イエス・キリスト」の姿は馴染み深いものですが、神さまは本来その姿を見ることはできません。でも人々に神さまの力を分かりやすく伝えるために「天地の創造主である“御父”」は威厳あるひげを生やした老人の姿で描かれることが多く見られます。一方、「聖霊」は聖書の中では「鳩のような姿(イエスの洗礼)」や「炎のような舌(聖霊降臨)」そして「風」あるいは「息」として描かれています。

 平和のシンボルともされる「鳩」の姿は、聖霊の力の素直さや無垢であることを示し、また「炎」は、人々の心を燃え上がらせ、「舌」は神さまのことを力強く人々に伝える力を与えることを示しています。

 そして「風」。「風がどこから」にも歌われているように、聖霊=神さまはいつも私たちと共にいて、あるときは優しく心をいやし、あるときは強く励ましたり道を示したりしてくださっています。でも、多くの場合人々はそのことに気付かず、困難なことを自分ひとりの力で乗り切ろうとしたり、成功したことを自分だけの力で成し遂げたと思ったりしがちになるものです。「人はだれも知らない」というフレーズは、「ねえねえ、ちょっと気をつけて感じてごらん。いつも神さまがあなたと共にいてくださるんだよ。」ということを教えてくれています。

 今年この「園長だより」に「風」というタイトルをつけました。それは、毎月一回こうして皆様に伝えるメッセージが、神さまの働きのように、皆様方の心に、ある時はそよそよと、ある時は力強く伝わってほしいという願いを表しています。小さなたよりではあるけれど、少しでもみなさんのお役にたつことができれば幸いです。

 ♪ あなたの いきを 送ってください
     すべてが 新たに なるように ♪(典礼聖歌5番 作詞:佐久間 彪)
                        (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>5月
あなたたちのがんばりを
2019年4月24日
 先日行われた東京大学の入学式での上野千鶴子さんの祝辞が話題になっています。
「あなたたちは、がんばれば報われると思ってここまで来たはずです。ですが、がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。」
と、大学合格者の男女比などを例に挙げ、社会には不公平なことが数多く存在することを学生たちに伝えました。

 そして「世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。がんばる前から、『しょせんおまえなんか』『どうせわたしなんて』とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶(おとし)めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。」
と、弱い立場の人たちのことを思い、他者のために自分の力を役立ててくださいと呼びかけられました。

 さらに「そして強がらず、自分の弱さを認め、支え合って生きてください。女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です。」
と、ありのままの自分や他者を受け入れることの大切さを教えてくださいました。

 上野さんは女性学の立場からこのお話をされましたが、その中心にある思いは、今から2000年前、私たちに大切な掟を示してくださったイエスさまの教えと同じものでした。

 「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」(ヨハネによる福音書第13章34節)
イエスさまは常に弱い人に目を向け、助けてくださいました。そして人々にもイエスさまと同じように、弱い人を大切にしなさいという新しい掟を示してくださいました。

 また、「キリストにより、体全体は、あらゆる節々が補い合うことによってしっかり組み合わされ、結び合わされて、おのおのの部分は分に応じて働いて体を成長させ、自ら愛によって造り上げられてゆくのです。」(エフェソの信徒への手紙4章16節)
と、イエスさまにつながった私たち一人ひとりは、それぞれが異なる役割を担った掛け替えのない存在であり、互いに助け合っていくことが素晴らしいことなのですということを教えてくださいました。

 上野さんは、最後に
「これまであなた方は正解のある知を求めてきました。これからあなた方を待っているのは、正解のない問いに満ちた世界です。」
と、これからの学び方を示して祝辞を終えられました。未来を生きる子どもたちのみならず、私たち大人も、自分の「がんばり」を、人のために使える社会にしていきたいものです。
                        (園長 鬼木 昌之)
<2019年度>4月
一 歩 先 に
~建学の精神をベースに未来を生きる子どもを育てる~
2019年4月9日
 天使幼稚園は創立から73回目の春を迎えました。いち早く満開になった東京の桜は、その後、気温が低い日が続き、長く見ごろを保ってくれています。その桜が咲き誇る中、新しい元号は「令和」とすることが発表されました。出展は万葉集の「初春の令月(れいげつ)にして気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香(こう)を薫(かお)らす」からでした。「令」には令息・令嬢などにも用いられるように「良い・立派な」という意味があり、外務省は海外に向けて「Beautiful Harmony=美しい調和」という意味だと説明しているそうです。

 新天皇陛下の即位に新元号と、今年はいつも以上に新しい時代の訪れが感じられる春となりました。

 そのような新しい時代に向け、天使幼稚園では「初心・笑顔・チャレンジ」「ステップアップ~ねらいの確認とふり返りを通して~」を目標に掲げて取り組んできたこの2年間のあゆみをベースに、今年度は「一歩先に~建学の精神をベースに未来を生きる子どもを育てる~」を目標に掲げました。「一歩先に」には、昨年よりさらに一歩先に進もうという思いと、時代の一歩先を見据えていこうという思いを込めています。そして、今一度、天使幼稚園の建学の精神をふり返り、その歩みを堅固なものにしたいという願いを込めています。

 1930年代(昭和初期)世界恐慌などの影響で混乱していた日本の中で、親がいなくなったり捨てられたりした子どもたちのため、奄美大島で聖心愛児園をスタートさせたガブリエル神父様は、その後、東京に活動の拠点を移し、1938(昭和13)年、孤児たちのお世話をするお告げのフランシスコ姉妹会を創立しました。そして戦後間もない1947(昭和22年)には、久が原の地域の方々の要望を受け、天使幼稚園を設立しました。お告げのフランシスコ姉妹会や天使幼稚園の設立の根幹にあるのは、13世紀にイエスさまの教えを忠実に生きた、アシジの聖フランシスコの「貧しい人のケア」「自然の保全」「平和の追求」という精神でした。天使幼稚園もその精神を土台にし、園のことばに掲げた
 「イエスさまのように 神さまにしたがう よい子ども 
   マリアさまのように やさしいこころ 
     いつもなかよく 明るいこども」
を目標に、子どもたちを育ててきました。

 時代が変わり「令和」になっても、この根幹にある理念は変わるものではありません。ただ、移り行く社会環境の中で、具体的な取り組みは変化していきます。設立当時は1年保育が当たり前だった幼稚園も、今では3年保育が中心になり、さらに未就園児クラスもできました。多くのお母さんがお家にいらっしゃる時代から、働くお母さんが多くなる時代に変わってきました。さらに、世界とのつながりが深まり、ICT(情報科学技術)などの発達によって生活スタイルが変わり、学校での学び方も大きく変わろうとしています。

 このように変化する時代の中で、「聖フランシスコの精神を生きたガブリエル神父様が、今いらっしゃったら、どのような幼稚園にしていこうと思われるか」という創立者の思い、建学の精神を大切にしながら、未来を生きる子どもたちに必要な力を養っていく1年にしていきたいと思っています。

 今年度も1年間、どうぞよろしくお願いいたします。 
                        (園長 鬼木 昌之)

園のたより  <2016年度>  <2017年度>  <2018年度>
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